安曇川流域資源を活かしたご当地焼き物開発と陶芸窯
ご当地焼き物って何?
私たち、KCLプロジェクト6期生は、過疎化が進む葛川・久多を賑やかにするため、学校に窯を造り、地域素材を活かした陶器づくりをしています。この活動を「ご当地焼き物開発」と呼んでいます。
小学3年生の頃、児童生徒数減少による母校の危機を受けた先輩が呼びかけた、葛川・久多を知ってもらう(Know)来てもらう(Come)住んでもらう(Live)ための取り組み、KCLプロジェクトが始動し、私たちも参加しました。小学4年生の時、葛川の地域で粘土を発見したことがきっかけで、粘土開発が進んでいきました。また、活動の中で、陶芸家の清水志郎さんに出会いました。清水さんは、私達の活動に共感してくださり、粘土探し、窯の設置、釉薬の調合、作品の焼成などに協力してくださりました。
ご当地焼き物って役立つの?
私たちのご当地焼き物開発の目的は、少子高齢化が進む葛川・久多の地域を賑やかにすることです。そのために、地域で見つけた粘土を使い葛川小中学校のマスコットキャラクターである「ガワ太郎」の陶器を製作しました。陶芸窯も陶芸家の清水さんのご指導のもと、自分たちで設計し、レンガを積んで作りました。中庭に設置した窯の屋根には、地域の流域材を使用しています。この粘土や窯を私たちだけでなく、これからの後輩たちに引き継ぎます。ご当地焼き物をこの世代で終わらせることなく、続いていくものとして、地域の一つのPRポイントにしていきたいと思います。そして、葛川・久多の地域を盛り上げてほしいです。
この活動で好きなところ
この活動の好きなところは2つあります。1つ目は、活動を通じて、地域を知ることができる点です。活動の中に、学校周辺のフィールドワークを行う時間があります。フィールドワーク自体も楽しい活動ですが、活動を通して、地域の良さや強み、新たな一面を知ることができました。私たちが学んだ地域の良さや強みを後輩に説明したり、発信したりしたいです。
2つ目は、みんなで団結し、1つのことを達成したときの喜びです。活動の中で、役割分担しそれぞれの役割で困っていることがあれば助け合いながら、達成できたときの喜びは今でも忘れられません。これからの後輩たちにも、この喜びを実感できる活動にしてほしいです。
子どもだからできること
子どもだからできることは、「共感の輪を広げること」だと考えています。活動を通して、共感の輪を広げる努力をしました。
活動を始めた頃は、本当に地域の資源を活用した陶器づくりが実現できるのかと、不安に思っていました。しかし、「山間地域を明るく賑やかにしたい」という活動の目的や「地域の魅力を発信したい」という私たちの想いにたくさんの方が共感し、仲間になってくださりました。陶芸家の清水さんには、粘土探しや窯の制作、陶器づくり、焼成方法など、陶芸に関する専門的知識をたくさん教えてくださりました。市の職員の方々には、窯の設置にむけた許認可の手続きをサポートしていただき、窯の設置を実現しました。他にも『子供水力発電所』の建設に協力してくださった梅本さんに地域の流域材を用いた窯の屋根を作っていただき、地域や保護者の方々には、陶器を焼くための燃料の薪を地域の木材で準備できるように教えてくださったり、寄付してくださりました。これらの協力を得られたのも、応援していただけるように、共感の輪を広げる努力した成果だと考えています。
これからも、たくさんの人に私たちの活動に興味を持っていただき、地域に足を運んでいただきたいです。
応援してくださる方々の輪を広げたい
私たちの活動は、「地域のことを知ってもらう」を目的の一つにしています。地域の方からいただいた支援金でウェブサイトを運営したり、新聞社やテレビ局を通して活動の話題を広げて いただいたりしました。その中で、陶芸家の清水さんに出会いました。清水さんとの出会いで、私たちの活動は一気に前進しました。このように、活動について発信することで、共感の輪を広げ、私たちの活動について興味を持ってくださる方が増えています。
また、活動の成果を地域の方に発表する「つなげる会」では、地域の方々から、「今後どうなっていくのか楽しみ」という言葉をいただきました。私たちの活動を楽しみにしてくれている方や応援してくれている方がいることを知り、とても嬉しかったです。
先輩方がこの活動を始めて6年目になり、児童生徒数増加という大きな成果も出していま す。「葛川小中学校に行きたい」、「葛川小中学校に通わせたい」など、学校を目的として家族 でこの地域に移住する人も増えています。そして、今年は葛川小中学校の小学3、4年生が、 「夢プロジェクト」という取組で、市内の他校と交流する際、葛川の地域の土を使うそうです。 私たちの活動が小学生にも役立っていることを知りました。この活動を知ってくださる方々 がもっともっと増えること、そしてその先に、来てみたい、住んでみたいと思ってもらえること を目標にし、最後まで頑張っていきたいです。
次の世代への願い
私たちはこの活動をこの一世代で終わらせるのは、非常に勿体ないと思いました。
なので、これからの後輩の皆さんには、今回使った町居粘土以外の粘土を新しくこの地域で探したり、粘土でまた違った作品を作っていただいたりなど、ご当地焼き物開発を継続してほしいと考えています。ご当地焼き物開発の活動がさらに発展していくことを願っています。